子どもの声に向き合わず、痛ましい結果を招いた児童虐待事件が相次ぐ中、子どもが気持ちや意見を伝えられるように支援するアドボカシーと呼ばれるしくみが注目されています。擁護、支持などを意味する言葉で、英国などで導入されています。行政から委託された民間団体に所属するアドボケイトが、子どもが考えをまとめる手伝いをして、話せる場を作ります。その意見を踏まえ、ソーシャルワーカーや行政などが判断します。
日本でも、今国会で成立が見込まれる児童福祉法改正案に、施行後2年をめどに子どもの意見表明を支援する仕組みの検討が明記されています。英国では、国に、子どもの権利に関して最高の権限を持つ、子どもコミッショナー(長官)という役職もあります。独立した立場で、福祉や教育、司法などあらゆる分野から、権利が守られているか徹底調査し、政策提言できる権限を持っています。日本は、国連から子どもの権利を包括的に定めた法律や子どもが苦情を言える機関を作るよう勧告されています。
(2019年5月6日 中日新聞)
(吉村 やすのり)