国立長寿医療研究センターと島津製作所は、アルツハイマー病の原因となる物質を血液中から90%程度の精度で検出する技術を確立しました。脳内に原因物質が異常に蓄積されているか否かが早い段階で分かり、治療薬や予防薬開発につながります。アルツハイマー病は、アミロイドβと呼ばれる異常たんぱく質が脳にたまるという特徴があり、関連する物質が血中にわずかに流れています。これを質量分析技術を使って検出するもので、0.5㏄の血液があればできるとされています。
日本とオーストラリアの健康な高齢者やアルツハイマー病患者ら232人で、脳の画像検査(PET)と比べて、このたんぱく質が脳にたまっているかをほぼ90%の確率で正しく見分けられたとしています。しかし、たんぱく質があっても必ずアルツハイマー病になるとは限りません。また、これを取り除いて病気が進むのを食い止める治療法は確立していません。当面は治療薬が効いているかの判定に役立てることにしています。
(2018年2月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)