アルツハイマー病の誤診の回避

 アルツハイマー病患者の脳には、たんぱく質であるアミロイドβがたまった沈着物や、タウの繊維状の塊がみられます。認知機能が衰える数十年前からアミロイドβの蓄積は始まり、その後にタウが蓄積し、神経細胞が徐々に壊され、認知機能障害などが現れます。病気の進行度を知るためには、脳内のアミロイドβやタウの蓄積を正確に把握する必要があります。

 米セントルイスワシントン大学の研究チームは、アルツハイマー病の原因物質といわれるたんぱく質のタウの脳内での蓄積を、血液中の物質から把握できるシステムを開発しています。アルツハイマー病の診断を補助する血液検査薬が米国で承認されるのは初めてです。アミロイドβとタウを測る2つの検査を組み合わせれば、病気の進行段階が詳しく分かります。最適な治療が可能になります。

 現状の診断では、患者や家族への問診、認知機能を測るテストなどで症状を基に判断する場合が多いのですが、アルツハイマー病と似た症状の病気と見分けるのが困難でした。正確な診断には、アミロイドβやタウを測る必要があります。しかし、(PET)検査は費用が高く、脳脊髄液を採取する検査は体への大きな負担を伴います。国際アルツハイマー病協会は、認知機能障害を持つ患者に対して、専門医が血液検査で診断することを促しています。

(2025年9月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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