アルツハイマ-病は、分析されにくい異常なたんぱく質がたまり、脳の細胞を傷つけることによっておこります。これまでの研究では、異常が個々の細胞で、それぞれ独立に起きると考えられていました。だが最近、ある細胞でできた異常型が、タネとなって他の細胞へ広がり、正常なたんぱく質を異常型に変換させるという新しい研究成果が出てきています。この考え方は、たんぱく質プリオンの正常型が異常型に変わって増えていくという、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の研究から出てきており、プリオンコンセプトと呼ばれています。
さらに病変の拡大に、ミクログリアと呼ばれる免疫細胞が重要な役割を果たすことも考えられるようになってきています。ミクログリアは、異常なタウたんぱく質やそれがたまった細胞を食べて除く監視役であり、処理しきれないと異常なタウを小さい膜に包んで細胞外へ出す作用があります。それを別の神経細胞が取り込むことで、病変が広がっていくことになります。アルツハイマ-病の進行に、このような新しい考え方が提唱されるようになってきています。
(2015年10月22日 朝日新聞)
(朝日新聞)