本日、10月19日はイクメンの日です。10(トウサン=父さん)と、19(イクジ=育児)の語呂合わせです。新語・流行語大賞のトップ10入りしてから約10年が経過しています。言葉は広まり、子育てに深く関わる父親も増えてきています。しかし、社会全体でみると、女性に比べ、男性はまだまだ子育てに縁遠いのが実情です。いまだに、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだという意識を持つ人も、根強くいます。
6歳未満の子どもを持つ、父親の一日の家事・育児時間は年々増えてきていますが、海外に比べると1/2~1/3程度に過ぎません。また男性の育児休業取得率も年々増加していますが、平成30年度で6.16%に過ぎません。家事育児をする父親のロールモデルが身近にいないことも原因となっています。キラキラしたイクメンをモデルにもっとやれというのではなく、男性が働きながら家事育児をするのはまだ難しい社会だという視点に立ち、課題解決に向かう必要があると思います。イクメンブームは功罪で考えると、功の部分が圧倒的に大きいと思います。女性の社会進出や男女平等の推進につながっています。
子育ては自分育てです。仕事をし、家事育児をいかにして両立させるか、ワーク・バランスを充実させるかが問題となってきます。子育ては自らの教育の場です。子育てをすることにより、他人に優しくなれます。子育てをすることにより、自分の時間を効率よく使えるようになります。子育てをすることにより、社会との交流が広がります。さらに、人を育てるスキルが向上します。子育てをしているとキャリア形成にネガティブに作用するなどと考えないで、子育てができる時期をもっと楽しむべきです。そうすれば、子育ての素晴らしさが理解できるはずです。まさに、子育てとは、自らを内観する絶好の機会です。
(2019年10月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)