高度経済成長期の前後に整備されたインフラが相次ぎ耐用年数を迎えます。一定の品質を保てる期間を超え、損傷や機能低下が起きやすくなります。対象は道路や橋梁から送電鉄塔、水道管まで幅広く、重要な社会課題となっています。
更新ペースを上回る勢いで老朽化が進んでいます。水道管では法定の耐用年数の40年を上回る設備が2割に達しています。現在の更新ペースだと完了まで100年以上かかるとされます。巨額の更新費用に加え、技能者の高齢化が更新を妨げています。建設業では2024年で60歳以上が2割を占め、就業者数はピーク時の7割に減っています。
限られた財源と人員で更新を進める鍵は、デジタル技術にあります。建機の自動運転やロボット技術、点検作業を効率化するAIの開発が進んでいます。先端技術の導入には、埋設された位置など情報の電子化が欠かせません。国は、地下のインフラ情報について2028年度に10都市、2033年度に50都市でデジタル基盤の整備に着手する方針です。

(2025年8月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)