昨年12月23~29日の1週間のインフルエンザの感染者数は、定点医療機関あたり64.39人と、1999年に現在の方法で統計を開始してから最多となりました。想定以上の患者数で製造が追いつかないことを理由に、タミフルを製造する中外製薬、ゾフルーザを製造する塩野義製薬、タミフルの後発薬を製造する東和薬品と沢井製薬の各社は、今月相次いで抗インフル薬の出荷制限や出荷停止の対応をとるとしています。
抗インフル薬は、後発薬があるタミフルの処方が多くなる傾向にありますが、他にもリレンザやイナビル、ラピアクタ、ゾフルーザもあります。厚生労働省は、タミフルが不足している場合は、タミフル以外の抗インフル薬を検討するよう呼びかけています。
今流行しているインフルエンザは、2009年に広がったA型H1N1と同じです。コロナ禍で大きな流行がなく、国民全体の免疫が落ちているためと考えられています。ワクチンには50~60%の発症予防効果と70%程度の重症化予防効果がみられます。重症化しやすい子どもと高齢者、基礎疾患がある人は、早めに診断を受けて抗インフル薬を処方してもらうことが大切です。市販の解熱鎮痛薬などを使う場合は、アセトアミノフェンを使用すべきです。
(2025年1月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)