この冬のインフルエンザは、患者報告数が流行の目安とされる水準に達することなくシーズンを終えました。流行が起きなかったのは、厚生労働省が今の方法で調査を始めた2000年以降で初めてです。世界的にも同じ傾向となっており、新型コロナウイルス対策で海外との行き来や他者との接触が減ったことが原因と考えられます。
例年、ピーク時の報告数は数万人規模になりますが、昨年11月~今年3月は100人未満で推移しました。1医療機関当たりでは0~0.02人にとどまり、流行の目安とされる1人を超えることはありませんでした。海外との往来の制限や3密を避けるといったコロナ対策が影響しているのは間違いありません。
(2021年4月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)