インフルエンザ経鼻ワクチン

鼻にスプレーをするだけでインフルエンザを予防できる経鼻ワクチンが実用化に近づいています。阪大微生物病研究会が、国立感染症研究所と共同開発しました。接種時の痛みがなく、乳幼児や高齢者などにも使え、既存の予防接種では難しい感染予防などに役立つと期待されています。インフルエンザの予防接種は、一般にワクチンの注射が国際的に普及しています。経鼻ワクチンは鼻の中に噴射して使います。米国などでは既に使われていますが、国内で承認されたものはまだありません。
経鼻ワクチンは、感染能力のないインフルエンザウイルスからなっています。これが鼻や喉の粘膜に取り込まれると、体内の免疫の働きが活発になり、侵入した病原体などをつかまえるたんぱく質抗体が、粘膜表面に大量に放出されます。体内へのウイルスの侵入を防ぎます。血中にも抗体はでき、侵入したウイルスを攻撃して増殖を抑えます。皮下注射では重症化を抑えられても、感染予防はできません。免疫が活発になっても血中にしか抗体が作られません。体内に侵入したウイルスを攻撃するため、増殖を抑えて重症化を防ぐ効果しか期待できませんでした。

 

(2019年12月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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