ウイルス感染と湿度

インフルエンザなどのウイルス感染は、寒くて乾燥した天気が続く時に流行しやすいとされています。寒さのために、病気をもつ人や高齢者などは体力が衰え免疫力が低下します。屋内にこもりがちとなり、濃厚接触も増えます。乾燥した空気のために目、鼻、喉の粘膜や皮膚表面が傷み、インフルエンザウイルスに感染しやすくなります。咳やくしゃみの飛沫が乾いて微小化し、ウイルスを遠くに運びやすいとの説もあります。風邪はほとんどがウイルス感染であり、新型コロナウイルスも同様です。
厚生労働省によれば、インフルエンザが流行シーズンに入ったのは、2019年11月4日~10日の週で、2018年より1カ月、2017年と比べても2週間早かったのですが、患者はあまり増えていません。現在は過去数年と比べかなり少なくなっています。今年は、冬型の気圧配置は長続きせず、太平洋側でも乾燥した晴天の日は数えるほどしかないことが影響していると思われます。新型コロナウイルスの場合も同じように、気温が高く湿り気の多い環境では感染が広がりにくい可能性があります。今冬のように暖かく雨が多く、湿っているとウイルスは遠くまで飛びにくく感染リスクは減少します。わが国での新型コロナウイルスの感染症も、寒気が襲来し、乾燥した晴天の日が多くなってから増加しているように思われます。今後湿度が上昇し、新型コロナウイルスの拡大にブレーキがかかることが期待されます。

(2020年2月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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