エイズウイルス(HIV)は、世界で年間100万人以上の新規感染が報告されています。年間数十万人もの死者を出す感染症として猛威を振るっていますが、このほど新たな予防薬が登場しました。年2回の投与で患者の負担を軽減でき、HIVの感染終息に向けた新たな希望として期待が集まっています。
HIV感染予防薬としての製造販売を新たに承認されたレナカパビルは、ウイルスの殻であるカプシドの機能を阻害する作用機序をもち、体内でHIVの複製や増殖を防ぐ効果があります。この予防薬の最大の特徴は6カ月間と長期で効果が持続し、年2回の注射だけで済む点です。HIVの予防薬として使われているツルバダは1日1回、経口で投与する必要があります。
HIVの発見は1983年で、体内の免疫細胞を攻撃するウイルスです。感染経路は、性行為や血液感染、母子感染の主に3つです。感染後しばらくは無症状が続いて10年近く体内に潜伏します。その間に適切に治療しないと、重篤な免疫不全を引き起こし、がんや他の感染症を引き起こします。
HIV陽性患者は、全世界で4,080万人いると推計されています。新規感染者は減少傾向にあるものの、HIV陽性者は依然として増えています状況です。HIVの発見から40年以上たった今でも根治する治療薬は無く、ワクチンも研究段階です。
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(2025年9月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)