飛行機のエコノミークラスに機乗することにより、狭い空間に同じ体勢で長時間過ごした場合に起こりやすいことから、エコノミークラス症候群と呼ばれるようになりました。長い時間、飛行機や車のシートなどに座って同じ姿勢で足を動かさずにいると、ふくらはぎなどの奥にある静脈の血管の内側に血の塊である血栓が出来やすくなります。血栓が血の流れに乗って肺へ届き、血管が詰まることで肺塞栓がおこります。症状としては、初めはふくらはぎがむくんだり、筋肉痛のような痛みがしたりします。その後肺の血管が詰まって重症になった場合は、突然胸が痛くなって息苦しくなり、最悪の場合は、意識を失い死亡することもあります。
予防は、水をこまめに飲み、2~3時間おきに車から降りて3~5分ほど歩くことが良いとされています。血栓はふくらはぎにできやすいため、圧迫して血液を心臓に送る力を補う弾性ストッキングを寝る時に穿くと効果的です。足をダッシュボードの上に置いて心臓より高くするのも良いと思います。また1時間に1度は、かかとを20~30回上下させたり足首を回したりして、ふくらはぎを動かすことも大切です。足を動かすことができない人には、ふくらはぎを下から上へマッサージしてあげることも効果的です。地震で避難して車中泊をしなければならない時には、注意して体を動かすことが大切です。
(2016年4月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)