新型コロナウイルスの感染拡大による在宅勤務の普及で、オフィスのあり方が変わってきています。テレワークが機能すると確認した新興企業は、事業環境の悪化に備えオフィスを解約し始めています。オフィスビル総合研究所は、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスビルの空室率が、3月末の0.6%から、2023年3月末に5.1%まで上昇すると予測しています。
全就業者の1割がテレワークを続けたと仮定すると、都心の空室率は15%まで上昇し、賃料も2割程度下がる可能性があるとされています。在宅勤務が普及しつつある半面、育児との両立が難しいといった声も根強くあります。都心部だけでなく、住宅近くにもシェアオフィスやレンタルオフィスを展開する企業も増えています。コロナ収束後の新常態を見据え、大手不動産も都市部以外の需要に一段と目配りした成長戦略が求められることになります。
(2020年5月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)