肉や魚、卵や牛乳といった伝統的な動物由来のたんぱく質に代わり、新しい技術を使って似た食材をつくるオルトプロテイン(代替たんぱく質)への注目度が高まっています。国連食糧農業機関の統計によれば、世界では年間で豚13億頭、牛3億頭、鶏は700億羽が食肉として処理されています。一方でこの10年、肉に代わる新たなたんぱく源の開発が進んでいます。
今後、所得増や人口増で肉などを食べる人が増え、たんぱく質の消費量は2020年の5億8,700万tが、2035年に8億7,200万tにまで拡大すると予測されています。今は1,300万tの代替たんぱく質の消費も、9,700万tにまで増えると見込んでいます。先行しているのは、大豆など植物由来の原料を肉のように加工する分野で、大手の参入も相次いでいます。さらに培養肉分野や、微生物による発酵たんぱく質を生み出す分野のベンチャーが続々と育っています。
代替たんぱく質への移行は、飼料作物の栽培、家畜の飼育、食肉への加工といった過程を省くことで、温室効果ガスの排出削減につながるとも期待されています。試算通りに代替たんぱく質への移行が進めば、二酸化炭素相当で年間10億tを超える温室効果ガスの排出が減ると見込まれています。
(2021年7月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)