オンライン診療の恒久化

初診からのオンライン診療が恒久化の方向に前進します。オンライン診療は、2020年4月に新型コロナの院内感染を防止するための特例措置として、初診から解禁されました。しかし、医師会など医療現場には、受診歴がなく病状をあらかじめ把握できない場合、誤診につながるとの懸念を示していました。
実施計画では、初診から認めるのは、過去に受診歴のあるかかりつけ医を原則としますが、かかりつけ医がいない人にも一定の条件のもとで容認します。健康診断の結果や他の医療機関での診療記録などが得られる場合は、かかりつけ医以外でも容認します。また、かかりつけ医のいない若年層などでは、事前に医師とオンラインでやりとりして病気の履歴や基礎疾患の状況などを伝え、医師と患者の双方が合意した場合に認めることになります。

コロナ禍で特例的に認められている状況でさえ、電話も含めた遠隔診療の登録医療機関は全体の15%程度で昨年から横ばいが続いています。初診から実施している医療機関はさらに少なく、全体の6%程度にすぎません。オンライン診療は患者にとって便利でも、医療機関にはシステム投資の費用がかかったり、対面診療を削って診療時間を確保したりと負担がかかります。しかも診療報酬が対面の半分程度にとどまる現状では、医療機関が積極的にやりたがりません。
オンライン診療を利用するには専用アプリが必要になるケースもあり、高齢者などには広がっていません。導入コストを下げて本格的な普及につなげるには、使い勝手のいいシステムもカギになります。

(2021年6月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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