新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、スマートフォンなどを使ったオンライン診療が、初診から利用できるようになっています。これまでは、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病や難病といった一部の患者や、緊急の診療が必要な場合が対象でした。また、初診はだめで、再診でのみ認められていました。新型コロナの感染拡大が収まるまでの特例として、受診歴がなくても初診から可能になりました。対象の疾患も限定せず、コロナ以外の患者も受けられます。医師の処方後、薬剤師が電話などで服薬指導をすることも認められ、初診から宅配で薬を受け取ることができます。
オンライン診療は、感染拡大防止が目的です。感染の疑いのある患者がいきなり病院や診療所で受診すれば、感染を広める恐れがあります。また、新型コロナと関係のない症状の患者が病院に行けば、その人が感染するリスクも高まります。医療機関では、必要な医療用マスクやゴーグルなどの防護具も不足しており、患者だけでなく、医療スタッフの院内感染も防ぐ狙いがあります。
診療科によってオンラインでの診療が困難な場合もあり、可能かどうかは医師が判断することになります。患者と対面しないと分からない病状もあり、見逃しや誤診の恐れも出てきます。医師は、そうしたリスクや急変時の対応方針について患者に説明し、同意を得る必要が生じます。公的医療保険が使え、初診時の患者の自己負担(1~3割)は最大642円です。患者はこれとは別に、処方箋料や他の治療にかかる費用を支払う必要があります。治療費の支払い方法は、医療機関によって対応は異なりますが、銀行振り込みやクレジットカード決済などでの支払いが想定されます。
(2020年4月22日 産経新聞)
(吉村 やすのり)