オーバーツーリズム対策の必要性

日本政府観光局によれば、2023年6月の訪日客は約207万人と、コロナ前の7割の水準まで回復しています。2025年度までの観光立国推進基本計画では、旅行者数よりも消費額を目標の中心に据え、訪日外国人による年間消費額5兆円(2019年に4.8兆円)を早期に目指すと定めています。
5類移行で4年ぶりに行動制限のない夏を迎え、主要観光地でオーバーツーリズムが起きています。オーバーツーリズムは観光客が集中し、住民生活や自然環境に負荷がかかることを指します。2010年代からSNSや米メディアで使われ始めました。観光庁が旅行者の増加に伴う課題を自治体に尋ねた2018年の調査によれば、観光客のマイカーやバスによる交通渋滞との回答が約4割と最多です。ごみや騒音、トイレの利用などマナーに関する問題も目立っています。
極端な混雑は、長期的に住民の流出や、観光資源の劣化を招く恐れもあります。観光客の人数制限や公共交通機関の利用を分散させる取り組みなどで、混雑の緩和を図っています。対策が遅れれば、観光地としての魅力自体も損ねかねません。

(2023年8月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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