オープンデータへのアクセス

オープンデータとは、複製や加工による二次利用が可能な誰でも自由に利用できる公開データのことを言います。一般の人々が自由にデータを活用できるようにして、課題解決や新しいビジネスの創出などに役立てる狙いがあります。米国や欧州を中心に、2000年代から政府や企業の持つ情報のオープンデータ化が進んでいます。政府のオープンデータサイトは、人口や気象など各省庁のデータを横断的にまとめています。2018年までに全ての都道府県がオープンデータの公開を始め、市区町村でも1,000を超える自治体がデータを公開しています。

わが国では、公開するデータの量が少なかったり、公開していても更新が遅いといったケースも目立ちます。日本経済新聞の分析によれば、全体の2割強の約5,600件にアクセスできないデータが含まれることが分かりました。厚生労働省で約45%、公正取引委員会は約38%、経済産業省は約33%に上っています。利用しやすさを重視する欧米などでは、コンピューターによる機械判読が可能で大量のデータを高速処理しやすい形式で公開するところが多くなっています。しかし、日本は、PDFなど自動処理に適さない形式が多いため、民間から改善を求める声が出ています。
欧米ではデータを活用した成果が目立ち始めています。国内ではオープンデータを担当する職員より、データを持つ現場の方が立場が強く、組織にデータをマネジメントする意識が根付いていません。地方自治体の約4割は、オープンデータを扱う職員すらいません。出遅れる日本には、デジタル社会の土台を機能させるための意識改革が欠かせません。

(2022年3月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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