オーラルフレイル

 オーラルフレイルとは、年齢とともに歯や舌など口腔の機能が衰えていくことをいいます。食べこぼしやむせることが増えるといった口まわりの些細なトラブルを、全身の衰えのサインとしてとらえるオーラルフレイルという考え方が少しずつ広がっています。加齢などの影響で口の機能が衰えると、噛みにくいと感じます。肉や根菜など硬いものを避け、パンやうどんなど軟らかい食べ物を選びがちになり、栄養が偏ります。この状態で対策を取らないと噛む機能はどんどん落ちていき、食べられるものがますます減り、食欲や体力が低下し、低栄養や筋力の低下、ひいては要介護状態になりやすくなります。
 オーラルフレイルとは、口の衰えが、要介護の始まりになります。「人は口から老いる」との考え方です。噛めない食品が増える、滑舌が悪くなるなど些細な衰えの積み重なりが、本人の健康に大きなダメージになります。高齢になると、噛むために必要な口まわりの筋肉が落ちていきます。筋肉のかたまりである舌も使わないと衰え、小さくなったり厚みが減ったりします。こうした衰えは、食べたり飲み込んだりする機能に影響し、窒息事故や誤嚥性肺炎にもつながります。オーラルフレイルの人は、死亡や要介護状態になるリスクが約2倍高くなります。
 食事の際に食べこぼしやむせることが増えたり、滑舌が悪くなったと指摘されたりしたら、オーラルフレイルの可能性を考え、かかりつけの歯科医に相談することが大切です。食事の際は、意識して硬い食べ物も食べ、なるべく奥歯で噛むことが大切です。硬いものを食べることで、口まわりの筋肉を鍛えることが必要になります。家族や友人と会話を楽しみ、口を動かす機会を増やすことも良いでしょう。

(2018年1月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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