カフェインは、コーヒーや茶に含まれ覚醒作用などがありますが、過剰摂取は思わぬ副作用をもたらします。九州地方に住む20代の男性がカフェイン中毒で死亡しました。カフェインへの耐性には個人差があり、体格が小さい女性や子どもは少量でも許容範囲を超える恐れがあります。このため、目安となる数値を定めている国もあります。カナダ保健省は、健康な成人で1日400ミリグラム以下に設定しています。これに従うと150ミリリットルのコーヒーカップで4杯半が目安となります。
カフェインを取り過ぎると血中濃度が急激に跳ね上がり、不眠や吐き気、震え、心拍数の増加などを招くことがあります。精神面でも落ち着きがなくなったり、焦燥感を抱くようになります。またカリウムの血中濃度が下がり、不整脈や筋肉の細胞が壊れる現象などが起き、最悪の場合死亡することもあります。またカフェインは利尿作用があるため、カルシウム不足の人が過剰摂取すると、カルシウムが多く体外に排出され、骨粗鬆症になる可能性が高まるといわれています。妊婦がカフェインを過剰摂取すると流産や胎児の発育の遅れを招く恐れがあります。
一方、利点もあります。カフェインを取ると中枢神経系を刺激して眠気を抑えたり、集中力を高めたりする効果があります。加えて血管を広げて血液の流れをよくする働きがあり、腎臓の働きがよくなり尿が出やすくなります。さらに、消化管を刺激し胃酸の分泌を促します。いずれにしても適度のカフェイン摂取が大切となります。
(2016年1月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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