カルテ開示の義務

 カルテ開示義務は、厚生労働省が2003年に策定した指針です。すべての医療機関は、患者の治療内容や経過などを記入したカルテについて、患者から請求があった場合、第三者の利益を害するおそれがある場合などを除き、原則として開示するように明記しています。厚労省の調査によれば、医療機関にカルテの開示義務があることを患者の4割以上が知らず、開示を求めたことのある患者は、1割に満たないことが明らかになっています。また、担当医とは別の医師に、診断内容の意見を求めるセカンドオピニオンを利用した患者も約2割にとどまっています。
 患者が自らの病気や診療内容を十分に理解し、医師との信頼関係を確保するためには、医療機関に対し、患者側の求めがあればカルテなどの診療記録を原則開示するよう指針で定められています。患者の権利をしっかりと守るには、カルテ開示やセカンドオピニオンが常識にならなければならないと思われます。各地の拠点病院がセカンドオピニオンを受け付ける組織を設けるなど、制度を普及させる努力が必要となります。

(2015年6月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

 

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