人事院の発表によれば、キャリア官僚(幹部候補)となる国家公務員総合職の2021年度採用試験の合格者は1,834人で、倍率は7.8倍と現在の試験制度が始まった2012年度以降で最低でした。女性の合格者は、全体の30.6%にあたる561人でした。3割を超えるのは2年ぶりです。過去最高の2019年度(31.5%)に次ぐ水準です。女性比率は上昇傾向にあり、現行制度になった2012年度と比べると、2021年度は8ポイント高くなっています。
2021年度の総合職試験への申込者数は1万4,310人でした。2020年度と比べ14.5%減少しています。5年連続の減少で、2012年度以降で最大の減少幅となりました。合格者を出身大学別で見ると、トップは東大の256人でした。2位は京大の115人、3位は北大の80人で、78人の岡山大が続いています。2019年度に307人いた東大出身者は、2020年度に249人と大幅に減少しています。
内閣人事局の調査によれば、20代総合職の3割は過労死ラインの目安とされる月80時間超でした。現役職員の霞が関離れも深刻です。自己都合を理由に退職した20代総合職は、2019年度に87人もいます。6年前から4倍に増えています。また、30歳未満の若手男性職員の7人に1人が、数年以内に退職する意向を示しています。長時間勤務の是正などの働き方改革は急務です。政府は1月に国家公務員の勤務環境を整備する指針を5年ぶりに改定しています。
(2021年6月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)