人事院は、2023年度春に実施した国家公務員総合職試験の合格者を発表しました。合格者数は2,027人で倍率は7.1倍でした。大学別にみると東大出身は193人で、過去最も少なくなっています。この10年で半分以下となり、初めて200人を割りました。
女性の合格者は683人で、2022年春から110人増え、過去最多となりました。理工系の合格者は増えています。出身大別では、京大の118人、北大の97人が東大に続いています。海外の大学5校から6人が合格しました。
中央省庁が就職先として敬遠される傾向が続いています。長時間労働やサービス残業の多さから、霞が関にはブラック職場との呼び名も定着しています。国家公務員を選ばなかった理由では、76%が採用試験の勉強や準備が大変をあげています。55%の人が、超過勤務や深夜・早朝に及ぶ勤務が多そうと答えています。
これまで多くを輩出してきた国立大の合格者減少は、学生全体で公務員離れが進んでいます。なかなか改善されない公務員の働き方や権威の低下などが、流れに一段と拍車をかけています。改革に取り組まないと若き有能な人材が来なくなってしまいます。
(2023年6月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)