仕事内容と求める能力を明確にするジョブ型を、新卒採用でも導入する企業が増えています。即戦力になる新卒学生を求める企業も現れ始めています。日本経済新聞社が実施した学長アンケートによれば、変わる人材ニーズへの対応策として、5割弱がキャリア教育の早期化を考えています。一方で大学が職業訓練の場になる可能性を危惧する声も上がっています。
低学年次から履修できるキャリア教育や就業体験を増やし、自身のキャリア形成を早いうちに意識させる動きが目立っています。実務経験のある教員による授業を取り入れ、実践的な知識の提供を目指す大学も多くなっています。博士課程の学生向けに、ジョブ型の研究インターンシップの機会を提供している大学も増えています。
学部を卒業した段階で専門領域を決められる学生は多くなく、ジョブ型が機能するのかどうかは疑問の声も上がっています。職業訓令校化していくことが高等教育機関の使命ではない、特定分野の専門教育が優先され、学際的な学びが阻害されるといった声もあり、教養教育がおざなりになることへの懸念もみられます。一方で、専門的な知識、スキルが求められるため大学院進学が重視される可能性が高いと期待する声もあります。
(2022年12月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)