クオータ制とは、どちらかの性別が一定比率を下回らないように決めることを言います。手法は、女性に①議席の一定数を割り当てる、②候補者の一定割合を割り当てる、③政党が自発的に候補者の一定割合を割り当てるの3種類があります。①と②は憲法か法律で定め、③は党規則などで決めます。国ごとに方法は違いますが、約130カ国・地域が導入しています。
導入で女性参画が急速に進んだ国も多くなっています。内閣府によると、メキシコは2002年に政党候補者の30%を女性とすることを義務化し、2008年に40%、2014年に50%と比率を引き上げています。政党助成金の3%は、女性の能力強化に充てています。その結果、下院議員の女性比率は、1997年の14%から2018年に48%と大幅に伸びています。
フランスは、1980年代にクオータ制を検討しましたが違憲とされ、2000年に政党に男女同数の候補者擁立を義務づけるパリテ法を制定しました。下院選で、男女の候補の差に応じて政党助成金を減額します。上院選は、比例代表の名簿に候補者を男女交互に並べます。1993年に6%だった下院の女性割合は、40%まで上昇しています。
日本の衆院議員の女性の割合は9.9%で、先進国で最低水準です。列国議会同盟(IPU)によると、世界193カ国の国会のなかで166位です。わが国でのクオータ制実現に向けた超党派の議員連盟が、国会、地方議会の選挙で、男女の候補者数をできるだけ均等にするよう政党に努力を求めています。
(2021年3月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)