政府は、今年5月に日本で開かれる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、地球全体の人々の健康を守るグローバルヘルスを議題の一つとして取り上げる方針にしています。グローバルヘルスとは、地球規模で人々の健康に影響を与え、解決に国際的な連携が必要な課題のことを指します。感染症対策や乳幼児、妊産婦の死亡率の低減、保険医療制度の構築などがあり、テーマは時代と共に変化します。主に発展途上国に向けた取り組みですが、国境を越えて広がる感染症対策は先進国の課題でもあります。
大量に購入した薬を途上国に届けているのが、02年に設立された世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)です。00年の沖縄サミットでの提案を機に発足し、14年末までに810万人がエイズの治療を、1320万人が結核の治療を受けています。蚊が媒介するマラリア予防の蚊帳の配布なども行い、推計1700万人の命が救われたとしています。薬の配布だけではなく、診断治療体制や流行拡大を防ぐための教育活動などを支援しています。世界中の人々の命を守るグローバルヘルスの概念が大切です。
(2016年1月24日 読売新聞)
(吉村 やすのり)
アーカイブ
カテゴリー
カレンダー