ゲノム編集による重症貧血治療

英国は、狙った遺伝子を書き換えるゲノム編集技術を利用した重い貧血症に対する細胞治療を承認したと発表しました。2020年ノーベル化学賞の対象となったクリスパー・キャス9という手法が初めて医療として実用化されました。対象は12歳以上で、鎌状赤血球貧血症とベータサラセミアの患者です。酸素運搬を担うヘモグロビンというタンパク質に異常があることで引き起こされます。
承認された治療は、赤血球のもとになる細胞を患者から採取し、ゲノム編集技術で遺伝子改変し、酸素運搬能力が高いタイプのヘモグロビンが作られるようにします。患者が元々持っていた赤血球のもとの細胞を薬で減らした後、遺伝子改変した細胞を注射で体内に戻します。
鎌状赤血球貧血症は、本来は円盤状の赤血球が三日月のように変形する病気です。赤血球が壊れやすく酸素不足の貧血状態になるほか、赤血球が血管に詰まり臓器損傷が起きます。アフリカ・中東系の人が主な患者です。ベータサラセミアも、遺伝子変異により正常な赤血球が足りなくなる病気です。

(2023年11月17日 共同通信)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。