ゲーム障害がICD-11に

世界保健機関(WHO)は、オンラインゲームなどのやり過ぎで日常生活に支障が出るゲーム障害を、国際疾病分類(ICD)に基づく病気として正式に認定しました。ICDとは、国際的に統一した基準で定められた死因および疾病の分類です。現行のICD-10は1990年に決まったもので、今回の改訂は約30年ぶりとなります。ICDは統計の国際比較などに便利で、日々の診療でも参照されます。
ICDは、各国が病気や健康状態を報告する際の国際標準となるものです。ゲーム障害は、最新の国際疾病分類となるICD-11の嗜癖行動障害群の項目に加えられます。同じ項目にはギャンブル障害もあります。厚生労働省の推計では、インターネット依存の中高生は、2017年度に約93万人にのぼります。パソコンや据え置き型ゲーム機も含めると数百人になるとの見方もあります。
今回決まった定義によれば、①ゲームをする時間や頻度を制御できない、②ゲームを最優先する、③問題が起きても続ける、④個人や家庭、学業、仕事などに重大な支障を及ぼすといった状態が、1年以上続くとゲーム障害と認定されます。MRIによる血流検査によれば、前頭前野の機能が低下すると、衝動が抑えられず、ゲームやギャンブル、アルコールに依存しやすくなるなどの傾向が分かっています。
診断・治療には時間がかかります。医師は複数回にわたってじっくり患者の話を聞き、不安を和らげていくことが必要です。朝から夕まで運動、食事、会話などをして過ごす日帰りプログラムや、1泊2日程度の宿泊コースもあります。

 

(2019年6月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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