血液中のLDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運びます。一方、HDLコレステロールは、小腸で原形が作られて全身の余分なコレステロールを回収し、肝臓へ届けます。両者の合計が総コレステロールとして数値化されます。空腹時にLDLが血液1ℓあたり140㎎以上あると、高コレステロール血症と診断されます。LDLは体に必須ですが、増えすぎると血管の壁について動脈硬化の原因になるため、悪玉コレステロールとも呼ばれます。日本人の最大3割がLDLの値が高いとみられ、男性は全年齢で高くなる恐れがあります。女性は50歳を超えて女性ホルモンの分泌が減ると、LDLが増えやすくなります。これに対し、HDLは善玉コレステロールと呼ばれます。
食事療法で値が十分に下がらない人は、超音波の検査装置で動脈硬化進んでいるかどうかを調べます。検査の結果、動脈硬化が進んでいる場合は投薬で治療します。副作用が少なく薬代も安いスタチンを使うのが一般的です。食事療法と投薬のほか、運動するとHDLが増え、間接的にLDLを減らせます。速めの散歩やジョギングなどの有酸素運動を、1日30分以上もしくは1週間で2時間以上行うといいとされています。筋力トレーニングも役に立ちます。
(2018年5月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)