国立国際医療研究センターの調査によれば、わが国のコロナ入院患者の死亡率は、欧米に比べて3分の1にとどまっています。国内の約230の医療施設が、7月上旬までに登録した2,638人を詳細に分析し、一部の項目について海外の入院患者と比較しています。
入院患者のうち7.5%にあたる197人が死亡しています。欧米や中国は軒並み20%超の死亡率を示しているのに比べて低率です。日本の死亡者割合が低い理由について、糖尿病などの基礎疾患の割合が少ないことが関係していると考えられています。
入院時に重症でない患者の特徴として、咳や発熱などがみられない人の割合はほぼ半分、倦怠感がない人が約6割、呼吸困難のない人が約8割と高めでした。諸外国に比べ症状のない人が多いとされています。欧州で半分以上の患者が訴えている味覚障害の割合も17%と低率です。性別でみると、英国などと同様に日本人も男性が重症化しやすいことも明らかになりました。全患者の約60%が男性です。酸素投与を要した患者の65%が男性、気道への挿管や体外式膜型人工肺(エクモ)が必要な患者の79%が男性と、重症者で男性の割合が増えています。
(2020年8月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)