スタートアップの間で、本社をシェアオフィスへ移す動きが相次いでいます。新型コロナウイルス禍で、在宅勤務など新しい働き方が広がるなか、事業動向に合わせ、利用面積や賃料を柔軟に変えられる利点があります。日本企業のオフィス像の変化を、スタートアップが先取りしています。東京都心の平均空室率は、6月に6.19%と16カ月連続で前月と比べて悪化しています。コロナ禍でオフィス縮小に歯止めが掛からない中、シェアオフィスが有力な代替案に浮上しています。
本社をシェアオフィスに変えた上場スタートアップは、それぞれ数百人規模の従業員を抱えています。事業が成長すれば社員数を拡大する必要に迫られる可能性もあります。期間内は同じ契約内容が続く一般的なオフィスビルに対し、利用状況を変えられるシェアオフィスは、環境変化に対応しやすいといった利点があります。コロナ禍で先行きが見えにくい中、固定賃料を支払い続ける従来型オフィスより合理的です。
(2021年8月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)