厚生労働省によれば、仕事のストレスを原因とする精神疾患の労災件数は2020年時点で2,051件と2015年に比べ35%増えています。コロナ禍で、精神疾患で労災認定されるケースも出始めています。長引く新型コロナウイルス禍で在宅勤務が広がり、社内コミュニケーションの難しさは増しています。企業にとってメンタルヘルス対策が急務となっています。
精神障害による労災件数の増加の中、企業が社員のメンタル面の不調を発見しやすくするスタートアップの取り組みが相次いでいます。調査会社の富士経済によれば、ストレスチェック・メンタルヘルス対策の国内市場は、2025年に288億円とコロナ禍前の2019年に比べ約2倍に膨らむ見通しです。
2015年に改正された労働安全衛生法で、従業員50人以上の事業所ではストレスチェックが義務化されました。しかし、形式的な運用も多く、根本的な解決に至っていないという指摘もあります。メンタルヘルスケアへの一層の配慮が求められる企業にとって、新興勢の技術の存在感は高まっています。
(2022年5月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)