コロナ禍での児童労働の増加

国際条約で禁じられている児童労働が、2020年に推計1億6,000万人と2000年以降で初めて増加に転じました。新型コロナウイルスの拡大で途上国の経済が悪化し、2022年に2億人を超えると予想されています。多国籍企業は、自社のサプライチェーン(供給網)が、児童労働に関与していないか、リスク把握が課題になってきています。
国際労働機関とユニセフの発表によれば、労働に従事する5~17歳の子どもは、2016年から840万人増えています。世界の同年代の10人に1人が、児童労働している計算になります。2016年までは改善が続き、累計9,400万人減っていました。
地域別では、アフリカのサハラ砂漠以南が8,660万人で増加が顕著でした。アジア太平洋地域(4,870万人)、中南米(820万人)は減少したものの、ペースが鈍っています。業種別では、農業が7割を占め、サービス業、工業が続いています。全体の55%が5~11歳で、危険な労働に従事する子どもも増えています。
欧米では、企業に児童労働など人権侵害のリスク調査や開示を義務付ける法令の整備が進んでいます。一方、日本企業の対応は遅れ気味です。ESG(環境・社会・企業統治)の対策が環境だけでなく、児童労働でも急務となっています。

(2021年7月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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