財務省の公表によれば、新型コロナウイルス対応の医療体制強化に、16兆円の国費が支出されたとしています。うち5割の8兆円は、医療機関の支援でした。コロナ対策では、病床確保の補助金を受け取りながら、患者を受け入れない幽霊病床の問題が浮上しています。
公的病院の経営はコロナ禍で改善しています。国立病院機構傘下の病院の経常収益は、2000年度に前年度の25倍に拡大しています。地域医療機能推進機構(JCHO)傘下も5倍に増えています。公立病院は、赤字から黒字に転換し、民間病院や診療所の経営も堅調です。財務省は、少なくとも公的病院は補助金の受取額と患者の受け入れ実績を公表すべきだと改めて注文しています。
全体の16兆円のうち、24兆円はワクチン購入費で、8.8億回分を確保しました。基本的に1回あたりの税込み2,277円の接種費用は国が全額負担しています。休日対応などの加算も考慮すると、実際は1回3,700円程度が医療機関に支払われているとされています。8.8億回分は、全国民が4回接種できる量を上回っています。
(2022年4月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)