新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため、3月2日より臨時休校になっており、その期間は2ケ月以上に及んでいます。新型コロナ禍の全国的な広がりの中、学校の始まりを5カ月遅らせる9月入学・始業案が浮上しています。背景にあるのは、長引く休校による勉学の遅れ、そして経済力や学習環境の違いによる教育格差の拡大への懸念です。オンライン授業ができている自治体は全国で5%前後と言われています。
事態の長期化も考え、並行してオンライン学習の環境整備も急がなければなりません。教育の機会均等は、憲法に基づく国民の権利であり、国の責務でもあります。しかし、教育の基本は集まって一緒に学ぶことにあります。オンラインの個別では、気持ちを通わせることは難しいところがあります。人々の接触が制限され、集まれなくなると、感動を共有することができなくなり、心身は冷えきってしまいます。
これまで学校教育は、学業のみならず生活指導においても重要な役割を果たしてきました。学校における感染予防対策の徹底は、社会に対するさまざまな要請より効果的であると思われます。感染者数の少ない地域では、分散登校などで授業再開をすべきであると思います。これだけ休校が長くなると、子どもの心のケアと学力向上の両面での準備期間も必要になります。再開して、もし集団感染が発生したらという怖さがあり、県や市としても科学的な根拠を示せない状況があることもよく理解できます。しかし今後、集団発生は起こりうるものとして、起こった場合の対処方法を考えておくことの方が大切です。
(吉村 やすのり)