コロナ禍での少子化の加速化

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で少子化が一気に進んでいます。厚生労働省の発表した人口動態統計によれば、1~3月期の出生数(含む外国人)は、19万2,977人と前年同期比で9.2%減少しています。2020年度は前年度比4.7%減の85万3,214人でした。
都道府県別にみると、1~3月は東京都が前年同期比14.1%減、埼玉県が11.9%減など新型コロナの感染が初期から多かった地域の減少が目立っています。兵庫県も10.5%減で、大阪府や京都府も減少幅は9%を超えています。
2020年度の婚姻数は、2019年度と比べて16.1%も減っています。日本は結婚しないと子どもを持たない傾向があり、婚姻先送りも少子化の加速に影響を与えています。4月以降も出生数は減少が続いているもようで、2021年は年80万人を下回る可能性が出てきています。60年に1度の丙午にあたる1966年は、出生数が136万人と前年比25%減に落ち込みました。2021年に80万人以下になれば、減少率は8%を超え、丙午以降で最大となる見通しです。
厚生労働省によると、2020年8~10月の妊娠届数は前年同期比4.6%減の21万5,417件でした。妊娠届けは多くが妊娠11週までに出されるため、7~8カ月後の出生数の目安となります。80万人割れは初めてです。スペイン風邪の感染が落ち着いた1920年でみると、出生数は前年比14%増の203万人まで上昇しました。当時の妻の平均初婚年齢は23.2歳で2019年は29.6歳まで晩婚化しています。1人の女性が産む子どもの数が減り、過去のような急激なリバウンドは望むことはできないと思います。

(2021年5月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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