コロナ禍での心の不調

新型コロナウイルス感染症が収まらないなか、子どもの心の不調が目立つようになってきています。休校やイベント自粛、生活習慣の変化などが引き金となっています。親も不調に陥りがちで、子どもに悪影響を与えています。子どもの症状は多様で、うつ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安症などがあります。
国立成育医療研究センターは、2020年11~12月にネットで親子にアンケート調査を実施しています。小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に気分の落ち込みやイライラ、気力低下などを伴う中等度以上のうつ症状がありました。小学4年以上の6%は、ほとんど毎日死んだ方がいい、または自分を何らかの方法で傷つけようと思ったと答えています。いずれも想像以上に高い数字です。頭痛や腹痛、摂食障害など体の不調を訴える子も目立ちます。焦らずに休養し、心のエネルギーを高めるとともに、呼吸を整えストレッチをするなどリラックスした状態を作り出すことが大切です。
親の精神状態が良くないことも分かり、回答した親の29%に中等程度以上のうつ症状がありました。子の問題行動や不登校を親は負担に感じています。家庭内不和が生じ、それが子にストレスを与えて悪循環に陥るケースも少なくありません。親自身のストレスマネジメントも大切です。仕事を持つ母が通常通り勤務を続けることや、子どもの睡眠のリズムの乱れは、親子のQOLを下げる要因になっています。新型コロナウイルスの拡大は、特にストレスへの耐性が弱い人にうつ症状などを引き起こしています。早い段階で手を差し伸べ、発症を防ぐ予防的介入が必要です。

 

(2021年4月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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