コロナ禍での正社員の増加

総務省の労働力調査によれば、2021年は就業者のうち正規の職員・従業員は3,565万人と、前の年に比べて26万人増え、最多となりました。非正規は26万人減り、2,064万人となっています。正規は7年連続増加、非正規は2年連続の減少でした。



正社員の増加が目立つのは女性です。男性は2,343万人で横ばいですが、女性は1,222万人と過去最多を更新しています。業種別では、人手不足が深刻な医療・福祉が10万人増と際立っています。製造業や情報通信、金融業・保険業など幅広く女性正社員を増やす動きがみられます。
人口減が進む日本は、労働力の先細りが避けられません。コロナ禍が続いた2021年は、働く人の総数は9万人減り、6,667万人となりました。特に男性は22万人減と2年連続で20万人以上減っています。男性の労働力は今後伸びづらく、女性も中核となる正社員で登用しなければ、企業は回らなくなってしまいます。
過剰が目立ったリーマン・ショック後の景気後退局面と異なり、コロナ下では一貫して不足が上回っています。女性とともに労働力の押し上げに寄与してきた高齢者の取り込みも、限界に近くなっています。コロナ要因が解消されても、2020年代中には労働力の伸びは頭打ちになります。2021年の完全失業率は2.8%と、仕事を選ばなければ働ける完全雇用の状況に近くなっています。キャリアアップの可能性や働きやすさで企業が選別される傾向も強まっています。

(2022年3月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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