新型コロナウイルスへの警戒が続く中、今年の夏は例年以上に熱中症に注意が必要です。外出自粛が続いて体が暑さに慣れていないうえ、熱中症による高熱やだるさは新型コロナの症状と区別しづらくなっています。新型コロナの主な症状は高体温と咳などの呼吸器症状で、高体温は熱中症の症状そのもので、肺の病気を持つ人が熱中症になる場合もあります。熱中症で救急車の要請があった時は、現状では全て新型コロナを疑って対処しなければなりません。
3月下旬からの新型コロナ感染拡大期には、救急患者の搬送が困難だったケースが急増しています。東京では、こうしたケースが3月30日から6週連続で前年より2~3倍ほど多い状況が続いています。熱中症の発生ピーク時に再び感染拡大が広がれば、対応能力を超える恐れが出てきます。
熱中症は、予防が何よりも大切となります。本格的な夏が来る前に、体を熱さに慣らすことが必要になります。今年は長引いた外出自粛で準備ができていません。気温が上がり過ぎないうちから、適度な運動で準備を始めることが大切です。ポイントは、運動で汗をかくなど、体にもともとある体温調節のしくみを実際に働かせ、予行演習をさせておくことです。昼間はエアコンの利いた部屋で過ごし、朝や夕方などの暑すぎない時間帯に適度に運動すれば効果的です。運動中は無理をせず、周囲との距離がとれていればマスクは外して構いません。
熱中症は高齢者が住居で発症することが多く、人とのつながりが減ることで、発症リスクを上げてしまうことも危惧されています。一人暮らしの高齢者らへの頻繁な連絡が大切となります。
(2020寝7月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)