OECDによれば、人口千人当たりの病床数は日本は13床です。主要7カ国ではドイツが8床、英米など5カ国は2~6床にとどまり、日本の病床数は突出して多くなっています。発症間もない患者に対応する急性期病床も8床と、6床のドイツや2~3床にとどまる他の5カ国より多い状況にあります。
第2波の8月中旬に約2万7千床だった確保予定病床数は、12月に入ってもほとんど増えていません。重症者向けの確保予定も約3,600床で横ばいです。感染者数や重症者数が第2波を大きく上回っているのに、病床数は変わっていないため、医療機関の逼迫感が強まっています。
各国の1病床あたり医師数は、米国の0.91人に対し、日本は0.19人と5分の1です。フランス、ドイツと比べても3分の1の水準で、看護師も同じ傾向です。人口千人あたりの医師数をみると、日本は欧州より少ないものの米国と大差はありません。拠点ごとの人員配置が薄くなっています。集中治療専門医も不足し、ICUが10床以上あるのに専門医が1人という施設もあります。
欧米に比べて入院者の割合が高いことも、医療機関の負担につながっています。12月1日時点で陽性者約2万人の4割にあたる約8千人が入院しています。1日当たりの新規感染者が日本の6倍超に達する英国でも、入院者数は1.6倍の1万4千人程度にとどまっています。日本では、入院患者の66%が呼吸管理の治療が必要ない軽症です。日本では国民皆保険を背景に、入院への経済的ハードルがそれほど高くないことも、入院率の高さにつながっている可能性もあります。
(2020年12月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)