日本看護協会の発表によれば、新型コロナウイルス感染拡大に伴う労働環境の変化や感染リスクなどを理由に、看護師や准看護師の離職があった病院が15.4%に上っているとしています。感染症の指定医療機関や受け入れ協力医療機関などに絞ると、21.3%に跳ね上がっています。理由は、家族の理解が得られなかったケースが多かったとしています。差別や偏見があったと回答した看護師らは20.5%を占めています。
看護師らが働く福祉施設においては、介護老人保健施設の3.4%、介護老人福祉施設の4.0%、訪問看護ステーションの4.5%で離職があったとしています。差別・偏見については、家族や親族が周囲から心ない言葉を言われたが27.6%で最も多く、患者から心ない言葉を言われたが19.8%です。家族や親族が出勤を止められたが7.9%、子どもが保育園や幼稚園の登園を断られたが2.4%との回答もみられています。
こうしたコロナ禍で懸命に働く看護師に対する差別や偏見は断じて許されません。看護師の離職を防ぐことが、医療機関を守ることにもつながります。国には一刻も早く、医療機関への強力な財政支援が必要です。
(2020年12月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)