高卒求人は売り手市場が続いていました。リーマン・ショックで落ち込んだ後、求人倍率は、2012年から9年連続で前年を上回り、今年3月卒は2.52倍でした。少子化で子どもの数が減る中、製造業などを中心に現場で働く若い人材を希望する企業は多数みられました。
しかし、コロナ禍で就職市場は変調を来しています。厚生労働省によれば、7月末現在で高校新卒者の求人数は、前年より24.3%減り、求人倍率は0.44ポイント減の2.08倍になっています。どの業種も減少していますが、特に宿泊・飲食サービス業は減少幅が大きく、求人数は前年の半分にとどまってきています。観光や飲食業を中心に求人数が急減する一方、家計の悪化で急きょ進学から就職に切り替える生徒も少なくありません。春から就活に臨んだ大学生は、選考の中断やオンライン化に振り回されましたが、高校生にも不安が広がっています。
何社も並行して選考を受ける大学生と違い、高校生には1人1社制の慣行があります。高校生は地元での就職希望が圧倒的に多く、コロナ禍で地方経済の落ち込みが激しく、求人状況は深刻です。
(2020年10月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)