コロナ禍で入院患者の減少

病院経営支援のグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC-J)が、全国417病院の診療実績を前年と比較しています。新型コロナウイルス感染症の影響で、治療の緊急度が低い症状の入院が減ってきています。急性期患者を治療する病院においては、目の白内障手術、腸のポリープ切除などのための入院は、7月になっても前年比2割ほど減ったままです。海外なら日帰り手術が多い病気を中心に減っています。

入院患者は、救急搬送されるなどの緊急入院でも減っています。マスクや手洗いといった対策が浸透して、新型コロナ以外の感染症患者が減ったことが背景にあります。ウイルス性腸炎の症例数は、今年6月に前年同月比57%減り、7月も34%減でした。急性気管支炎などは5~7月の間、8割以上の減少が続きました。

コロナとの闘いが長期戦になる可能性がある中で、コロナ以外の入院医療にしわ寄せが行く状態を放置するのは、患者にとって良くないことです。院内感染対策の徹底など、患者が安心して受診できる体制を整えた上で、一般診療とコロナ患者の診療を両立させることを考える必要があります。将来の入院を前提に治療を先延ばしにするのではなく、可能なものは日帰りで速やかに手術が受けられるようにすべきです。

(2020年9月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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