コロナ禍におけるたばこ税収の変化

新型コロナウイルス流行による在宅勤務の広がりが、東京都内の自治体のたばこ税収に大きな影響を与えています。2020年度は、オフィスが多い千代田区では32.6%減と、12億円強の大幅減収となっています。一方、杉並区など住宅地が多い自治体は堅調です。減収となった自治体では、財源不足で施設改修を延期するなどの影響が出ています。
たばこ税は、たばこ購入者が負担する税金で、国と販売した店がある自治体に納められます。販売数が減れば税収も落ち込みます。在宅で働く人が増え、たばこの購入場所が会社近くから自宅近くに移ったとみられます。千代田区は、区内への通勤・通学者といった昼間人口が定住人口の14倍前後に上り、在宅勤務の影響が強く出やすくなっています。
日本たばこ協会によると、2020年度のたばこの全国販売数量は、前年度比16.3%減です。喫煙者の減少などで長期的に減少傾向にあります。ただ都心区などの税収の落ち込みは、販売の減少幅を上回っています。
総務省によれば、全国の市町村税収に占めるたばこ税収の割合は、4%ほどと高くはありません。しかし、固定資産税収や法人住民税収が直接入ってこない23区では平均約8%で、住民税に次ぐ大きな税収となっています。人口が少ない千代田区では、税収全体の約17%を占めています。2021年度のたばこ税収は前年度より12億円強少ない25億円に落ち込みました。

(2021年10月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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