コロナ禍における妊婦の不安尺度-Ⅰ

産後うつのリスク
横浜市立大学の宮城悦子教授らは、コロナ禍での妊婦の不安尺度について解析しています。不安尺度の指標としては、産後うつの指標に用いられるEPDS(エジンバラ産後うつ病自己評価票)と不安の調査に汎用されているK6(Kessler 6)を用いています。調査期間は2020年9月1日~30日、いわゆる第2波の収束の兆しがみられた時期で、妊娠している4,798人の女性から有効回答を得ています。
妊婦ではEPDS陽性(9点以上)が33.5%、高K6(5点以上)が39.9%にみられています。また、母体背景で調整を行い、COVID-19流行の程度と不安尺度との関連性を調べたところ、特に妊婦において、高流行地域では低流行地域に比べてEPDSスクリーニング陽性者が約1.5倍、K6陽性率が1.6倍程度有意に高いことが示されています。
海外からは、SARSあるいはMARS流行時の妊婦と同様に、新型コロナウイルス感染妊婦についても、うつ病、不安神経症、PTSDの発症への注意喚起を促した報告がみられます。また、新型コロナウイルス感染拡大下のイタリアのトリノにおいて、ロックダウンの間の妊婦EPDSは、44.2%がEPDS陽性という結果で、うつや不安症状の拡大に対する懸念が示されています。

(2021年9月1日 月刊母子保健)
(吉村 やすのり)

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