全国公私病院連盟の調査によれば、新型コロナウイルスの患者を受け入れた病院の方が受け入れなかった病院より、4~5月の減収が大きいことが報告されています。コロナ患者を受け入れると病院経営が圧迫される構図がはっきりしています。
コロナ患者を受け入れた病院は256病院です。診療に伴う収入から費用を差し引いた医業利益は、病院ごとの平均で4月が前年同月より9,454万円減の9,730万円の損失でした。利益率はマイナス12・1%です。5月は一層落ち込み、1億1,389万円減の9,966万円の赤字で、利益率はマイナス13・6%でした。コロナ患者の受け入れやその準備のために、病棟を閉鎖したことがある病院は184病院で、医業利益は4月が平均8,531万円、5月が同1億78万円の損失でした。
これに対し、コロナ患者を受け入れていない300病院の医業利益の平均は、4月が同1,726万円減の1,570万円の赤字、利益率はマイナス5・5%でした。5月は2,418万円減の2,153万円の赤字で、利益率はマイナス8・3%でした。受け入れた病院の経営状況の悪化が鮮明となっています。
新型コロナ患者の受け入れを頑張っている病院ほど損失が出ています。受け入れる病院は、感染対策に時間も手間もかかり、風評被害もあります。政府は新型コロナに対応する病院への支援として、5月26日以降は診療報酬を通常の3倍に引き上げたほか、4月以降にコロナ患者用の病床を確保した場合に空床補償を行うとしています。
(2020年7月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)