会計検査院の報告によれば、新型コロナウイルス禍に医療体制を整備するために支払われた国の補助金を巡り、約21億円が過大に交付されていたこと明らかになっています。行政による審査の甘さや事業者側の制度理解が不十分だったケースもありますが、虚偽申請などの悪質な事案も含まれています。
不当事項とされた金額が最も多かったのは、コロナ患者の受け入れ先の確保のため支出した病床確保料です。最も高い時期で1日1床あたり集中治療室(ICU)で最大43万6千円、一般病床で7万4千円が都道府県を通じて国の財源で補助されていました。6都県の9機関に支給された計10億9,788万円が過大だったとされています。
また、コロナとインフルエンザの同時流行に備えた事業でも過大交付が目立ちました。不当とされたのは、発熱患者向けの外来診察室を設けた医療機関に支払われた補助金で、7医療機関で7億6,916万円が払い過ぎと認定されています。コロナワクチン接種のコールセンター業務では、事業者側によるオペレーターなどの勤務時間の水増し請求などが発覚しています。過大交付は2021年度分だけで5,731万円と結論づけています。
(2024年11月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)