政府は、商業施設や住宅を市街地に集約するコンパクトシティーづくりを促す予算措置をとります。計画の有無や取り組み度合いによって、地方自治体向けの社会資本整備総合交付金の支給額に差をつけます。人口減や高齢化が進む中、一定の人口密度を保つことで公共サービスや生活関連施設などを維持できるようにします。
人口が減って人口密度が低下すると、スーパーのような商業施設は立地が難しくなり、生活に支障をきたします。インフラや行政サービスのコストもかさむほか、将来の税収が減り過剰ストックの維持費も重荷となります。こうした問題を解消するために、政府は市街地への集約を目指しています。
国土交通省は、2014年にコンパクトシティーづくりに向け都市再生特別措置法を改正して、立地適正化計画制度を導入しています。自治体の中で商業施設や病院、公共施設を集める都市機能誘導区域と、住宅を集める居住誘導区域を決めます。立地適正化計画が既に策定された自治体や、策定に向けた取り組みがある自治体のみ重点配分の対象にします。
コンパクトシティーづくりは、急傾斜地のふもとのような危険な場所から住民を移住させて、災害リスクに備える狙いもあります。国は、誘導区域に施設や住宅を整備する場合は、税制優遇や容積率緩和などの特例を認めています。
(2025年1月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)