シニア雇用の促進

人手不足が強まるなか、シニア世代の雇用促進に期待が高まっています。総務省の労働力調査によれば、就業者に占める60代以上の比率は2022年に21.6%とデータのある1968年以来で最高を更新しています。年齢別の就業率をみると、60代は62%と、20〜59歳に比べ23ポイント低いのですが、シニア労働力の活用余地はなお大きなものがあります。



シニア自身も就労に意欲的です。リクルートの調査によれば、就労意欲を持つシニアは、2023年に38%と5年前に比べ3ポイント上昇しています。しかし、現在働いていないが就労意欲のあるシニアの過去5年以内の職探しの状況では、5割が仕事が見つかっていないと答えています。シニアの働く意欲を企業側が取り込みきれていない可能性があります。
日本企業の多くは60歳定年制を採用していますが、再雇用制度の導入などでシニアが働く環境整備は進みつつあります。厚生労働省の2022年の調査によれば、66歳以上まで働ける制度のある企業の比率は40.7%です。給与水準が下がる処遇などは課題ですが、企業の待遇改善など受け入れ環境整備がさらに進めば、労働市場におけるシニア活用は一段と広がります。
人手不足が深刻になる中、シニア人材の処遇を現役並みに改善する動きが出てきています。住友化学は、2024年から60歳以上の社員の給与を倍増します。村田製作所も、2024年4月以降59歳以前の賃金体系を維持しながら、定年を65歳に引き上げます。人生100年時代を迎え、労働市場で比重が高まる60代以上が意欲を持って働くシニア雇用の環境作りが欠かせません。

(2023年7月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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