医薬品は、医師が処方する医療用医薬品と処方箋なしで買うことができる一般用医薬品に分類される。医療用医薬品は新薬である先発薬と後発薬(ジェネリック医薬品)に分かれる。先発薬は製薬会社が多くの年月と費用をかけて開発したものであるが、その特許は開発から10年程度で切れる。そうなれば他社で同じ成分である後発薬をつくり、発売することができる。後発薬では大規模な治験は必要なく、製品化にかかる期間と費用も少なくて済む。そのため、後発薬は安いのが特徴である。
国内での後発薬の伸び率は急増しているが、まだ後発薬の全医薬品に占めるシェアは3割程度と低い。諸外国に比べ、日本では後発薬の切り替えが遅れている。国民医療費の膨張を抑えるためにも、後発薬品の普及を図ることが大切である。厚生労働省は4月の診療報酬改定で後発薬を処方すればするほど病院や薬局の収入が増えるようにしている。しかし、現在発売されている後発薬は比較的安価な医薬品が多い。医療費の抑制のためには、高価なバイオ医薬品の後発薬の普及が待たれるが、バイオ医薬品や後発薬であっても開発にも費用や時間を要するため、まだまだ立ち遅れている。
(2014年10月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)